宅建は独学で合格できる

宅建試験は、例年10月に実施され、12月に合格発表があります。
しかし、令和2年からは新型コロナウイルス感染症の影響で、会場の受験可能人数を上回った都道府県では、受験者を10月と12月に分けて実施されています。
というのも毎年、受験申し込み者数が25万人を超えているのです。

以下は、新型コロナが上陸する寸前の令和1年10月実施の宅地建物取引士受験のための合格実績の事例です。
12月の合格発表後、宅地建物取引業の実務経験が2年以上ない場合は、登録実務講習を受講しなければなりません。
当時、申し込みの段階で、なんとなく新型コロナの影が忍び寄り、講習の頃には横浜のクルージングで騒ぎだしていましたが、まだ講習会などでの人数制限規定がない時期だったため、ぎりぎり講習が受けられました。
翌、令和2年、3年では、資格取得を急いでなければ受験申し込みの自粛まで協力を要請している状況です。
このような中での資格取得の受験は、大変厳しいと思いますが、合格のための参考としていただけるとうれしいです。

プロローグ

宅建試験に2回目の挑戦で合格しました。
初めて宅建を受験したのは2年前。
この時の受験準備は実に甘かった。
しかし、そんな甘さにもかかわらず、なぜかリベンジしようと思った翌年は、空振り。
というのも受験の申し込みをし忘れた・・・。← 話にならない
実際、今回の準備も決して威張れるものではありません。
これは、あとちょっと、あと1点で合格ラインという方に、その境界を越えるヒントになるかもしれないノンフィクションです。


当年2月にテキストを購入してから試験日までに費やした時間は約150時間。
1日2時間を設定したにもかかわらず、2時間に達したのは9月後半から。
ちょっと見にくいけど2〜10月までの学習時間の推移です。↓

グラフ内、一番高いところが約6時間です。
2月当初は、16分〜30分を表しています。
当然、白い点のない6月あたりはゼロです。

2〜10月


実際、学習への情熱は試験2週間前までなかなか湧かなかったのですが、前日に6時間、試験当日午前中に (試験開始は午後なので) 4時間。
この時間は実に充実していた!
楽勝で合格したわけではないのですが、最後2週間の心構えが合格につながったように思います。

なんでモチベーションが保てないかというと、なんで宅建を受けようと思ったのかが実はよく思い出せないから。
土地を買うことになったからだっけ?
土地を購入した翌年、息子がマンションを購入したからだっけ?
(そう、息子がマンションを購入するぐらいの年齢での受験です)
そんなこんなで、なぜか宅建士合格を目指すことになったけど、何でだかいまだに思い出せないため、お勉強のモチベーション問題をずっと引きずったままでした。

ここから始まる失敗例を参考に、宅建合格のための試験対策の参考にしてください。

失敗例 – その1

2年前、テキストと過去問10年分問題集を購入。
書店に並ぶ、数あるテキストの中、手に取って、見やすい行間、フォントの大きさ、色版などを基準に選択しました。
テキストを章ごとに読んで、該当の過去問をセクションごとに解き、再度テキストをチェックする反復方法。
さらに、不動産適正取引推進機構のサイト から過去10年分をダウンロードして各年度を2回ずつやってみる。
1回目では、合格点に達する年度のものはほぼなかったけど、2回目では合格点が見えてくる程度。
これでいい気になっちゃった。
本試験の10月、本番3週間前に1週間、所用でハワイに行っちゃった。
試験まで2週間あれば何とかなるだろうぐらい気楽に考えてた。
過去問10年分から、宅建試験全体が網羅できる気分でした。
要するに、要領良く済ませて試験に挑もうと軽く考えてました。
この年の学習時間は80〜90時間程度。
本番は当然の如く玉砕。
特に民法、権利関係が25問中約半分ぐらい意味不明、さっぱり分からない。
合格なんて雲の上、神の領域だと感じました。

さらに大失敗例 – その2

民法を知らなければこりゃ太刀打ちできないと思った翌年、、「民法がわかった」(法学書院)田中嗣久、田中義雄著 をその年の2月ごろ購入し、6月頃までぼんやりひととおり読みました。


抵当権、特に根抵当が分からず、連帯債務や連帯保証も難しくて理解できない。
何度も読み返しました。
民法は、あらゆる立場の人のそれぞれの立場から権利を主張できるようになっているんだと思いながら、ここでは誰を優先的に守りたいのかを意識して読んでました。
ところがこの頃、急きょ、ひとりで合同会社を起業することになりました。
起業のための準備として、

  • マイナンバーカードの申請
  • 定款の作成

などをあたふたと手掛けて電子定款で法務局に提出し、1週間ほどで合同会社を登記。
受理されるのに2〜3週間、その間、会社印(なぜここで会社印?については改めて別の機会に)や銀行印を作り、登記簿や印鑑証明などを揃えて銀行口座を申請。
審査に10日ほど、口座開設してからインターネットで口座で管理できるように設定。
ここまで法務局に行ってからお盆を挟んでちょうど1カ月半ほど。
いろんな申請をして受理を待つ間に、TACの模試を申し込み、やってみたら37点。
模試をきっかけに、去年のリベンジ始めなきゃ!と思って前年のテキストをひと通り読み始めた。
8月末、あ、そろそろ受験申し込みをしよっ!と思い立ち、サイトを見て驚愕!
申し込みは7月末までだった。。。ガーン
初めて尽くしの自力登記が忙しすぎて、宅建の申し込みを失念したのだ。
実現はともかくとして定款に「不動産業」なんて書いちゃったしなぁ。
ここまでなんだかんだで130時間ぐらい宅建勉強に時間を使ってた。
ということで、この年の宅建チャレンジは受験もままならず、ここで終了。
チーン。

合格に繋がるほんのささいな心構え

当年、2月1週目、今年度版のテキスト購入。
2年前にテキストを購入していたため、今年度版をわざわざ買うなんてどうだろうと思ってたんだけど、以前買ったテキストはタヌキやキツネが出てきて、分かりやすいようで、結局、誰がどうしたいのか逆に事実関係が分かりにくい。
むしろAとかBとか甲とか乙と言ってもらった方が問題に近いのにと感じ、今年度版を買い直す。

まず、テキストに目を通す前に、前年度の試験問題をざっくりやってみた。
27点。
1年間、擦りもしなかった試験問題だもん、そんなもんだよなぁ、ここからスタートか。。。
ということで、以前と同様の方法で、テキストのセクションを読んで、該当箇所の問題を解く。
「宅建業法」が導入として気が楽で、その後「権利関係」、最後に「法令上の制限+税」、これをひと通りやってからもう一度、前年度の試験問題をやってみる。
まだまだ合格点に達しない。
理解できるところとまったくお手上げなところを明確にして、テキストを読み返す。
マジに意味不明とか何度読んでも覚えられないところはノートに書き出してみることにした。
何せ、更年期で集中力はないし、記憶力もない。
ここで突然、わざわざ万年筆を買ってきて「書きました」臨場感を味わうことにした。


ペンでサラサラ書くより、万年筆の手応えは優しいし、後で見直すときのノートとインクのコントラストが妙に気持ちよかったから、というほかの人にはおそらく全然参考にならない理解不能な理由。


読んだ端からすぐ忘れ、覚えているつもりでも数日後には確実に忘却。
だからこれを繰り返すしかない。
問題なのはモチベーションがないこと。
なんで、こんなことやってるんだっけ?と自問しながら、1日ノルマ2時間とし、タイマー設定していたのに、開始7分で一時停止してワンコと散歩に行く口実を付ける毎日。
5月は4日間だけ、6月に至っては1日90分やっただけ。

5月
6月


こんな状態を続けてよく合格できたなぁ。

受験申込書

今回は、申し込みを忘れないように7月になったら速攻、受験申込書を近所の本屋さんのレジ横からいただき、すぐに送りました。

しかし、申し込みをしたからと言ってなかなか集中して勉強することはありませんでした。


ちなみに10月は、コチラ。
こんな状態が試験2週間前まで続いてました。

10月
試験2週間前

ところが、試験2週間前に、この調子だと来年、同じようにダラダラ引きずるか、モヤモヤしたまま諦めるかというどちらにしても気持ちの良い状態ではないことに嫌気がさしました。
そこで、意識改革をすることにしました。

色が付いているところは実際に出題されたセクション

試験までの時間が迫る中、不得意な民法、権利関係について、過去の試験から「出題頻度の高いもの」と「重要度の高いもの」の項目を必ず抑える!と覚悟を決めました。
実際、当年の試験で出題された項目に色を付けてあります。
また、平成18年から平成30年の過去問をプリントアウトし、時間をある程度意識しながら解く。
ここでポイントは、過去10年ではなく12年前までもやってみたこと。
設問の表現方法や法改正、消費税が徐々に上がってるけど確実にいい問題だなぁと思うものは重要。
過去問を2回やってみて、間違った問題を分析してみる。
すると、排除できる肢を2つ選択できてて、残りの2つで迷い、結局間違った方を選択をしている。
過去問2回のうち、間違えた問題をチェックしてみると、同じ問題を間違えていることが多い。
つまり、勘違いや間違った記憶が塗り替えられていない。
宅建は運よく正解だけをくぐり抜けて合格できるもんじゃない。
曖昧な記憶をキッパリ明確にしなければ合格ラインに達しないんだとここで気が付いた。
例えば、各問題文の誤りの箇所にアンダーラインを引き、ここは「遅延なく」じゃなくて「2週間」だったり、「しなければならない」じゃなくて「努めなければならない」だったり。
各肢を校正するつもりで問題を読み進めるようにしてみたら2年前玉砕した過去問で49点取れた。
なるほど、、、、と久々に学生の頃を思い出しちゃって、なんだか楽しくなってくる。
民法や権利関係では、六法を使って宅建の勉強をしているわけではない。
実際の試験では、過去問の踏襲は当然、あるとしても今年度として初めて提起する問題が必ず出てくるだろう。
試験時間は2時間で、設問50問だけど肢がだいたい4つあるので、問題文は約200問。
1問2分程度で解かなきゃいけない。
一語一句丁寧に読んでたら気が付きそうなところ、ざっざっと読んだために読み間違いや勘違いしての自爆も否定できない。
かなりニッチな問題であっても、残りの肢で分かっていることで判断し、排除すべき肢から正解の確率を上げるしかない。
つまり、なんとなく分かるのではなく、とにかく曖昧さを潰していくことを心がけることにした。

ほかにも試験準備のためには、試験3日前には整体に、夜中に足がつっちゃうからコムラケアを服用。
何せ、身体中あちこちのメンテナンスに注力をしないと疼痛に気を取られて試験時間2時間、座っていられない!

試験当日

朝から、「権利関係」と「宅建業法」のテキストを4時間かけてザザーっと目を通す。
忘れてたことがちょくちょくあって、これは効率的だった。
試験会場に至る道では、都内にある多くの宅建の学校から、当日の解答速報などの情報と当時に試験直前にギリギリ覚えておきたい問48の統計や改訂された法に関わる項目がかかれた親切な印刷物が次々いただける。
試験会場の最寄りの駅から試験会場までは、多くの受験者と配布のおにぃさん、おねーさんがいっぱい。
2年前、その流れに乗って会場に入ったにもかかわらず、このおばさんは受験とカンケーねぇ近所のおばさんだろーと思われたのか印刷物がいただけなかった。
今回は、絶対もらうぞ!といきごんで挑み、サングラスをして人の流れに紛れ込んだ!
おかげでめでたく各社の印刷物をゲット!!
着席後、指示があるまで、ひと通り印刷物に目を通せた。
実際、問48の統計についてはいただいた印刷物の内容で十分なのでここで1点いただきです。

12:30
トイレを済ませて、みな着席してます。
12:40
この時、筆記用具と腕時計以外は机の上に置かないようにと指示がある。
さらに、あらゆるデバイスは電源を切って袋に入れ、封印し、カバンなどの私物とともに足元に置くよう指示がある。

封入用封筒


その後、回答用紙が先に配られる。
解答用紙には、受験番号がすでに印字されているので自分の名前を書くだけ。
開始5分前ごろには問題文が配布される。
この間、集中力をアップするヨガの呼吸法ナディーショーダナプラーナヤーマで自律神経を整える。

開始は、さっき覚えた統計の数字を忘れる前に!!と、まず問48。
実務経験2年以上の人は問45までだから、問46〜50の正解は外したくない。
取っつきやすい宅建業法の問26のから後半に向けて取り掛かる。
そして、脳の血流がある程度増えてから苦手な民法や権利関係に取り掛かる。
ボーダーでは1点に何千人もがひしめき合っているはず。
ケアレスミスをするかもしれないことを前提にしても1点を着実に手に入れたい。
昨今、37点でも合否が危ういかもしれないので、40点代を目指したい!

合格発表当日

合格発表サイトは9:30に開示されるとありますが、都庁では9:00に受験番号の開示がある。
きっと合格発表サイトは混み合って、アクセス集中してるかもと思って、10分経ってから見たけど、携帯電話合格発表サイトは軽いサイトだったのでそんな心配はなさそう。
合格者には、簡易書留で「宅地建物取引士資格試験合格証書」が送られてきます。
発表当日に発送なら翌日着かと思ったら、発表の1時間後に郵便屋さんから受け取りました。
はやっ!



実務経験がないので、「登録実務講習」を受けないと登録申請ができない。
講習の申し込みには合格証書の写しなどを必要なので、合格証書を受け取ったらすぐに申し込みます (忘れないうちに!)。
中に添付されている書類を見ると、実際に宅建士登録を申請するに際しては、揃える書類がとってもめんどくさーい。