りんご天然酵母

天然酵母で作るパンは、ハードルが高そう。
しかし、断然ドライイーストで作るパンより、こだわった強力粉を使わなくても噛みしめるたび小麦粉の味が分かります。
天然酵母自体を作るには (季節、気温に左右されますが)、 数日〜1週間を要します。
そのため、最初の最初から熱々のパンを作るとなると1〜2週間かかることにもなります。
しかし一度、天然酵母のパン種を作り、パン種をペットのように飼うつもりで簡単な世話をしていれば、半永久的に使用可能。
逆に食べたいときに、味わい深いパンがさっと焼けることも。
緩やかな時間が流れるとき、また気温が安定した穏やかな日が続くときは、天然酵母のパン種を作るチャンス。
何度か失敗してもいい!と覚悟の上で、天然酵母のパン種作りにチャレンジしてみましょう。

ここでは、うちでやっているりんご天然酵母の作り方をご紹介しています。


りんごの天然酵母
【注意する点】 

初めの段階で雑菌が入るとカビが発生します (カビが発生したら、必ず廃棄!)。
そのためまず、ガラス容器、ヘラ・スパチュラ、スプーンなどは、なべで煮沸消毒をします。
100℃、5分程度で消毒を目安にしてください。


【鍋で煮沸消毒の方法】

  1. 大きめのなべにガラス容器とふたを入れ、かぶるくらいたっぷりの水を加える
  2. (ガラス瓶がゴツゴツなべ底に当たることない程度に) 数分間、沸騰させて火を消し、水温が少し下がるまで放置する
  3. 火を消した後のなべに包丁などを最後に浸け置き、瓶を引き上げると楽に包丁も消毒できる
  4. ガラス瓶は、ペーパータオルなどの上に一度伏せて乾かす

りんごは、ふぞろいりんごで十分。
皮、身、芯をざっくり切って使用します (タネは入れない)。
下記の材料を瓶に入れるだけ。

りんごの天然酵母
【材料】 
  • りんご 1/2個 *
  • 浄水  浸かる程度
  • 砂糖  小1/2 **

*りんごは、表面の汚れを落とす程度でよく、洗剤などで洗わないように
**砂糖は、オプション。発酵の度合いが弱いときに加えると発酵が盛んになりやすい

  1. ガラス瓶、包丁などを煮沸消毒し、上記材料を入れる
  2. 常温で保存し、1日最低1回、ふたを開けて空気を入れる
  3. 早くて翌日、冬でも数日後、細かい気泡が立ち上がり、フルーティーな香りがする
  4. 数日後、ふたを開けるとサワサワ音がしてスパークリング溶液に
  5. さらに数日後、気泡の発生が落ち着いたころ底に白いオリがたまれば完了
  1. ここに全粒粉100gを加え、消毒したヘラ・スパチュラなどでよく混ぜ、常温で保存し、発酵させる。りんごの身はスポンジのようにスカスカになっているため、全粒粉に溶けるように混ざる(35℃ぐらいのヨーグルトメーカーに入れると2時間ほどで発酵)
  2. 数時間後、気泡がみられ、2倍ぐらいに発酵したら、全粒粉80g、浄水80ccを加えて消毒したヘラ・スパチュラなどでよく混ぜ、常温で保存、発酵させる(35℃ぐらいのヨーグルトメーカーに入れると2時間ほどで発酵)
  3. さらに2倍ぐらいに発酵したら完了とし、パン種として使用可能 (発酵度合いが悪ければもう一度全粒粉80g、浄水80cc加えて混ぜて保存する)

カンパーニュ・パン Pain de Campagne (田舎風パン) のパン種100gは、強力粉としては半分の50gとして計算しています。
つまり、ドライイーストで強力粉250gのパンを作るときに使用する強力粉のうち、50gをパン種でまかなったものとし、残り200gを強力粉150g、米粉50gとして計算しています。

パン種を使用した後は、全粒粉80g、浄水80ccを加え、消毒したヘラ・スパチュラなどでよく混ぜ、常温で発酵させます。
発酵がみられたら次回使用するまで冷蔵庫で保管します。
数日に1回程度、ふたを開けて空気を入れます。
パンを焼くときは、パン種の瓶を常温に戻してから使います。
保存している段階で元気がなさそうなら、全粒粉や強力粉と浄水を入れて混ぜます。
全粒粉や強力粉と浄水は、酵母菌のエサです。
酵母の活性の程度が分かれば、元気いっぱいなのか、お腹が空いている状態なのか分かってきます。
かわいいペットだと思ってお世話をしながら使用と保存を繰り返せば、半永久的に天然酵母パンが焼けます。